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宮城県が明治22年に陸羽街道へ設置した一里標に関しては、すでに先達諸氏によって紹介されているが、このたび大衡村内を通過する国道4号線の4車線拡幅事業が本格化し、この区間にある一里標2基の取り扱いが注目されている。
今後どのように変化するのか、記録保存のために現場を訪ね撮影と報告をおこなう。

 

宮城県大衡村大衡字枛木、大衡中学校脇
  
Googleストリートビューは2011年11月撮影。ビューは回転するので直近の状況と比較していただきたい。

 

 

2021年12月12日の現地調査
日曜日早朝の交通量が少ない時間帯に実施。
  
国道4号線、仙台方面(左画像)と古川方面(右画像)
標石の上を覆っていた松の木はすでに伐採されている。この部分も道路の拡幅工事にかかると思われる。

 

            
 左側「陸前國黒川郡大衡村」    正面「距仙臺元標七里 」   右側「明治廿二年四月設 宮城縣」
(ここまでの撮影:2021年12月12日)

 

 

2022年5月29日の現地調査
大衡道路拡幅工事の進捗具合については春先から気になっていたが、なかなかこの方面に行く機会がなく、ようやく思い立って前回と同じように交通量の少ない日曜の早朝に出掛けてきた。
 
国道4号線、仙台方面(左画像)と古川方面(右画像)
前回訪ねたときは道端に打ち捨てられていたキロポスト(東京から378.7km)が新調され建て直されていた。周囲を見渡してみれば現在工事が進行しているのは向かい側(反対車線側)であり、現地で見る限りこの付近は東側に道を拡げるのかも知れない。

 

 
里程標石の周囲にはロープがめぐらされていた。工事に際して注意を促しているのは明らかだ。ここまでして撤去や廃棄はないと思われる。(が、同じ大衡村内では工場用地造成のため奥州街道の一里塚を消滅させた件があるので、どうも懐疑的な目で見てしまう。)
仮に反対車線側に道が拡げられたとしても、この付近には歩道とバス停留スペースが設置されると推定される。移動せず現状のまま保存されるのか、それとも何らかの変更があるのかは気になるところである。  
(ここまでの撮影:2022年5月29日)

 

 

2023年1月8日の現地調査
久しぶりに大衡村の国道拡幅工事区間を通ったが、北七里の標石は周囲にロープがめぐらされた状態で変化はない。
ただし、標石の近くに工事用のプレハブ小屋と簡易トイレが設置されていたので、いささか気になり車を止めて現状を確認した。
 
国道4号線、仙台方面(左画像)と古川方面(右画像)
周囲の工事の様子からして反対車線側を拡幅することが明らかにわかるようになってきた。標石自体は新しい道路敷にかかることはないと思われるが、はたしてどうなることか?
(ここまでの撮影:2023年1月8日)

2023年4月2日の現地調査
北八里の調査についで北七里の現地に到着。
 
上2点、ともに国道4号線の南方向、仙台方面を見る。
周辺の変化はさして大きくないが、3月7日に届いた仙台河川国道事務所からのメールにあるように、北七里の標石も姿を消していた。

 

 
上2点は古川方面を見る。
一里標があった場所は、右の写真のほぼ中央。埋め戻したような跡が若干だが確認できる。

 

 
すでにお気付きのことと思うが、現地には“新たな謎の物体”が出現していた。
ブルーシートに包まれたこの物体、細長い形状のものが2本入っているようである。
細長い形状? ということは一里標ではないだろうか? 2本となると七里と八里の標石・・・!?
真相はブルーシートに包まれていて不明だが、長さや1本あたりの太さから推測して一里標である可能性が高いとみる。 
はて、そうなると台石はどこにいったんだ? それらしき物は何も見当たらないぞ!?
(ここまでの撮影:2023年4月2日)

 

 

2024年5月4日の現地調査

北八里地点の変化を確認したあと北七里へ移動する。
移動行程1里(4km)のうち3分の1は拡幅した道路へ暫定的に車線が移動している。

 

 
国道4号線、仙台方面(左画像)と古川方面(右画像)
北七里付近の道路は従来どおりで変化はない。
ただし、近くにあった工事関係者用のプレハブ小屋と簡易トイレはなくなっている。
代わりに工事区間を示す看板が設置されていた。

 

 
看板の脇には前回(2023年4月)の報告にも書いたようにブルーシートに包まれた謎の物体が置かれたままだ。
この様子ではこの間(1年1か月)誰もシートを開封していないようだ。
標石の行方に関して、昨年3月、大衡村役場社会教育課へメールで問い合わせたが、とうとう梨のつぶて。
もう一度問い合わせてみようかな・・・。
(ここまでの撮影:2024年5月4日)

 

最新の情報

最新の情報

2024年11月10日の現地調査
今回も北八里の様子を確認したあと北七里へ移動した。
北七里の地点に近づくにつれ現行車道の西側に拡幅道路の造成工事が行われているのが目につくようになる。

 

 
北七里地点。前回5月の調査時と比べても大きな変化はない。
ただし、撮影範囲の外であるが、車線の向こう側(東側)では以前よりも工事が活発化している。

 

 
看板の脇には前回と同様にブルーシートに包まれた物体が置かれたままだ。
ものぐさな私はまだ大衡村役場に再度の問い合わせをしていない。この物体が何であるかは不明なままである。
それにしても、ススキも生えちゃって、ほったらかし感が半端ない。
(ここまでの撮影:2024年11月10日)